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化学物質のリスクアセスメントを行うときに有機則に指定される化学物質を除外してしまうのはなぜ

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化学物質のリスクアセスメント(RA)において、
「有機溶剤中毒予防規則(有機則)」に指定されている物質を対象から除外してしまう(RAをしなくてよいと勘違いする)ケースは、多くの現場で見られる非常に根深い問題です。
本来、2016年(平成28年)の労働安全衛生法改正により、一定の危険性・有害性がある化学物質(SDS交付義務対象物質)は、有機則などの個別規則の有無に関わらずすべてRAの実施が義務化されています。それにもかかわらず除外されてしまう背景には、日本の安全衛生管理の歴史と、現場の誤解が生んだ3つの理由があります。

1. 「有機則を網羅しているから、もう安全だ」という過信
これが最大の理由です。有機則は非常に厳格な規制であり、対象物質を使う際には以下の対応が義務づけられています。
  • 有機溶剤作業主任者の選任
  • 局所排気装置などの設置と定期点検
  • 特殊健康診断の実施
  • 作業環境測定の実施
現場の担当者は、これらの厳しい義務をすべてクリアするために多大な労力を費やしています。そのため、「法律(有機則)で言われた通りの対策を完璧にやっているのだから、これ以上何をアセスメント(評価)する必要があるのか?」という、前述の「法令遵守ゴール(コンプライアンスの勘違い)」に陥ってしまうのです。
2. 「個別規則」と「リスクアセスメント(自律的管理)」の目的の違いを理解していないから
日本の化学物質管理は、従来の「国が指定したルール(有機則など)を守る」方式から、現在は「企業が自主的にリスクを評価して対策する(自律的管理)」方式へと大転換しています。この2つの役割の違いが現場に浸透していません。
  • 有機則(個別規則):
    「全員一律でこの設備をつけなさい」という一律の最低基準
  • リスクアセスメント(RA):
    「有機則の設備は入っているけれど、実際の現場の作業手順や取扱量、暴露時間(吸い込む量)を考えたとき、本当に今の対策で全員の健康を守れているか?」を検証する個別の安全上乗せ対策
「有機則を守っているからRAは不要」と除外してしまう人は、この「法令遵守」と「リスク評価」のステップが別物であるという本質を理解できていません。
3. 「作業環境測定の結果がA評価だから大丈夫」という罠
有機則の対象作業場では、半年に1回「作業環境測定」を行い、第一管理区分(A評価=環境が良好)などの結果を得ています。
  • 現場の油断: 「測定結果が良いのだから、リスクは低いに決まっている。だからRAシートをわざわざ書く必要はない」と除外してしまいます。
  • 見落としの現実: 作業環境測定は「部屋全体の平均的な濃度」を測るものであり、「作業者が物質を容器から移し替える瞬間に、鼻先で一瞬だけ高濃度で吸い込んでいるリスク」までは評価できません。RAは、そうした「局所的な作業リスク」をあぶり出すために必要なのですが、測定結果の良さに甘んじて除外されてしまいます。

💡 現場に「有機則の物質もRAが必要」と納得させる伝え方
この誤解を解くためには、以下のような切り口で指導するのが効果的です。
伝えるメッセージ
「有機則は、『一般的な使い方』を想定した国の法律。でも、うちの現場では、『その物質をどのくらいの頻度で、どんな姿勢で、何リットル使っているか』までは法律は知らないよね。
有機則の対策(局所排気など)が、うちの現場の実際の作業に対して本当に100点満点なのかをチェックする作業がリスクアセスメントなんだよ。だから、有機則の物質こそ真っ先にRAをやらなきゃいけないんだ」
⚡ 補足:法改正によるさらなる厳格化
なお、2024年(令和6年)4月からは「化学物質の自律的管理」が全面的に義務化され、リスクアセスメント対象物質は約2,300物質へと大幅に拡大されました。これにより、「特化則や有機則の物質だから」という言い訳は一切通用しなくなり、全ての対象物質に対して「暴露濃度を基準値以下に抑制すること」が義務づけられています。

酸欠災害は「濃度測定」と「換気」を行えばほぼ防げるのになぜそれを守れないのか

酸欠(酸素欠乏症)災害は、「事前の濃度測定」と「十分な換気」という基本さえ徹底すればほぼ100%防げる災害です。それにもかかわらず、厚生労働省の統計でも災害原因のトップは常に「測定の未実施(約60%)」と「換気の未実施(約50%)」が占めています。
この「やれば防げる基本」が現場で守られない背景には、酸欠という現象の特殊性と、人間の心理が最悪の形で噛み合ってしまう5つの落とし穴があります。

1. 危険が「目に見えず、臭いもしない」から
ガス漏れや火災と違い、酸素が薄い空気は「無色・無臭・無刺激」です
  • 正常性バイアス: 人間は五感で危険を察知できないと、「いつも通り大丈夫だろう」と都合よく思い込んでしまいます。暗い地下ピットやマンホールを見ても、見た目が普通の空気であるため、危機感が呼び起こされません。 
2. 「無酸素空気」の恐ろしさが直感的に理解されていないから
多くの作業者は、酸欠を「息が苦しくなってから、慌てて逃げれば間に合うもの」と誤解しています。
  • 致命的な現実: 酸素濃度が極端に低い(10%以下など)空気を「たった1回呼吸しただけ」で、人間は瞬時に脳の機能を失って失神し、そのまま数分で死亡します。逃げる猶予も、声を出す余裕すらありません。この「一撃で即死する」という本当の怖さが、知識として現場に浸透していません。
3. 「さっきまで大丈夫だった」「昨日も入った」という過去の成功体験
酸欠危険場所の酸素濃度は、環境の変化によって急激に、かつスポット(局所的)に変貌します。
  • 油断のメカニズム: 「午前中は問題なかった」「昨日別の人が入った時は平気だった」という短期的な成功体験が、測定や換気を「無駄な手間」だと思わせます。しかし、地下水の流入、鉄の酸化、気温上昇による有機物の腐敗(炭酸ガスの発生)などにより、数時間で内部がデッドゾーン化することがあります。
4. 測定と換気にかかる「時間と手間」を惜しむから
工期や作業効率を優先する現場の焦りが、安全手順を省略させます。
  • 現場の言い訳:
    • 測定: 「車から測定器を取りに行って、電源を入れて、センサーを下に下ろして安定するまで待つのが面倒。ちょっと中を見るだけだからいいや」
    • 換気: 「大型の送風機をセッティングして、ダクトを底まで伸ばして、空気が入れ替わるまで30分待つなんて、作業時間がなくなってしまう」 
    • 結果: 「ほんの数分の作業だから」「ちょっと確認するだけだから」という甘い判断で、測定も換気もせずに立ち入ってしまいます。
5. 「ここが酸欠場所だ」という認識自体がないから
これが最も厄介なケースです。あからさまな下水マンホールであれば警戒しますが、そう見えない場所で被災します。
  • 見落としの例:
    • 「3ヶ月間、雨水が溜まっていただけの新築マンションの地下ピット」
    • 「長期間閉め切られていた鋼鉄製のタンク・台車(鉄の酸化で酸素が消費される)」
    • 「窒素やアルゴンなどの不活性ガスを扱うエリアの隣の凹み」
  • 原因: 作業者が「まさかこんな綺麗な場所が酸欠になっているわけがない」と思っているため、測定や換気という発想そのものが頭に浮かびません。

🚨 悲劇を繰り返さないための「仕組み」のヒント
「測定・換気を徹底しろ」という言葉の徹底(前述の形骸化する対策)では、この災害は防げません。人間の心理を排除した強制的な仕組みが必要です。
  • 物理的な施錠と鍵の管理: 酸欠危険場所のハッチやマンホールは常時施錠し、作業主任者が「測定記録簿」を確認しなければ鍵を渡さない運用にする。
  • 一歩も入らせない外部測定の義務化: マンホールの外、安全な場所からサンプリングチューブを垂らして測定することを、作業手順書に「最初の1歩」として組み込む。 
  • 二次災害の防止教育: 同僚が倒れた際、パニックになって「測定も換気もせず助けに飛び込み、2人とも死亡する」という二次災害が酸欠事故の約4割を占めます。「仲間が倒れても絶対にそのまま入るな、まず通報と換気だ」という鉄則を叩き込む必要があります。

危険予知は「不安全行動防止」が目的であり、その手段が「行動目標」を立てる事。これをうまく理解させるためにどうする。

「危険予知(KY)は不安全行動の防止が目的であり、そのための手段が行動目標を立てることである」という本質は、まさにKY活動の核心です。
これを現場の作業員やリーダーに腹落ちさせ、うまく理解してもらうためには、座学で理論を押し付けるのではなく、「なぜそれが必要なのか」を直感的に納得できる3つのアプローチが有効です。

1. 「車の運転」を例にした例え話(メタファー)で説明する
安全の理論は硬くなりがちですが、誰もがイメージできる「車の運転」に置き換えると、目的と手段の関係が一瞬で理解できます。
  • 目的(不安全行動の防止):
    「車の運転で一番怖いのは『事故(災害)』だけど、それを防ぐために絶対にやってはいけないのが『スマホを見ながら運転する』『赤信号を無視する』といった不安全行動だよね」
  • 手段(行動目標):
    「じゃあ、交差点での不安全行動をなくすために、頭の中で『事故に注意しよう』と思うだけで足りる? 足りないよね。だから『交差点では一度止まって、右・左を目視する』という具体的な行動の目標を決めて、その通りに体を動かすんだよ」
💡 伝えるメッセージ
「『注意する』はただの気持ち。『行動目標』は、不安全行動(バカな動き)をしないための具体的なブレーキの踏み方なんだ」と伝えます。

2. 「カメラで撮影できるかどうか」の基準を教える
現場が立てた目標が「不安全行動の防止」につながる正しい「行動目標」になっているかどうかを、全員がセルフチェックできる簡単な基準を授けます。
  • 「ビデオカメラで撮影できる動き」だけを行動目標にする
    • ❌ 「足元に注意する」 ➡ カメラで「注意している瞬間」は撮影できません(不合格)。
    • ⭕ 「段差の手前で一度立ち止まり、足元を真下を見てから進む」 ➡ カメラにその動きがハッキリ映ります(合格)。
💡 伝えるメッセージ
「カメラに映らない目標(気持ち)は、現場では誰も真似できないし、不安全行動を防げない。劇の台本(シナリオ)のように、自分の体の動かし方を書くのが行動目標だよ」と理解させます。

3. 「不安全行動」をあえて肯定する(共感から入る)
人間は「注意しろ」「徹底しろ」と上から言われると反発します。まずは「人間は不安全行動をしてしまう生き物だ」という前提を認めてあげることで、聞く耳を持たせます。
  • ステップ①:楽をしたい心理に共感する
    「みんな、少しでも早く仕事を終わらせたいし、楽をしたいよね。だから、ちょっと近道したり、安全カバーを外した方が早いと思ったりする。その気持ち(=不安全行動の誘惑)は人間だから当然あるよね」
  • ステップ②:行動目標による「縛り」の必要性を説く
    「でも、その『楽をしたい不安全行動』をそのままにすると、いつか指が飛んだり大怪我をする。だから、自分の弱い心に負けないように、今日の作業中だけは『〇〇の時は、✕✕する』という具体的な行動ルール(行動目標)で、自分の体を縛るんだよ」

📝 現場への落とし込み手順(朝礼などでの一言テンプレート)
もし朝礼や安全教育の場で説明されるなら、以下の構成で短く話すと効果的です。
  1. 目的の確認: 「今日のKYのゴールは、みんなが怪我につながる『不安全な動き(不安全行動)』を絶対にしないことです」
  2. 手段の提示: 「そのために、頭の中で『気をつける』ではなく、今日1日『自分の体をどう動かすか』という『行動目標』を1つだけ決めてください」
  3. 合格基準の提示: 「目標に『注意』『徹底』が入っていたら不合格です。カメラで撮れる具体的な動きに変えて発表してください」

危険予知KYを行う中で対策が「手足元注意」や「○○の徹底」と意味のない言葉になってしまう理由

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危険予知(KY)活動の中で、対策が「手足元注意」「指差呼称の徹底」「安全第一の意識を持つ」といった具体性のない言葉(スローガン)になってしまう現象は、多くの職場で発生する典型的な「形骸化」のサインです。
このような意味のない言葉になってしまう理由は、人間の心理的な手抜きや、職場の構造的な問題に起因する5つの原因があります。

1. 「何を」「どう」注意するのか具体化していないから
「注意する」という言葉は便利ですが、行動の指示になっていません。
  • 原因: 人間の脳は、具体的な行動を考えるよりも、抽象的な言葉で済ませる方が楽なため(認知の省力化)、無意識に「注意」という万能な言葉に逃げてしまいます。
  • 問題点: 「足元注意」と言われても、地面の段差を見るべきなのか、油の滑りに気をつけるべきなのかが伝わらず、現場の行動が何も変わりません。
2. 「人の問題(意識・スキル)」に原因を求めているから
危険の原因を「本人の不注意」や「確認不足」だと捉えてしまう、前述のリスクアセスメントと同様の「個人責任論」のバイアスがここでも働いています。
  • 原因: 「作業者がしっかりしていれば事故は起きない」という前提に立っているため、対策が「もっと意識を高く持つ」「徹底する」という精神論になってしまいます。
  • 問題点: 疲労や焦りがある時、人間は必ずミスをします。「徹底」という言葉は、その人間のエラーをカバーする仕組みになり得ません。
3. 日常のKYが「朝の儀式(マンネリ化)」になっているから
毎朝の作業開始前に、義務として短時間でKYを行っている現場によく見られます。
  • 原因: 「早く終わらせて作業に入りたい」という焦りから、過去のKYカードを丸写ししたり、その場でパッと思いついた使い回しの言葉(手元注意など)を書き殴ったりすることが習慣化しています。
  • 問題点: 危険を真剣に予測するのではなく、「KY用紙の空欄を埋めること」自体が目的になってしまっています。
4. リーダーや周囲の「ダメ出し・指導」が不足しているから
現場の職長やリーダーが、メンバーの書いた「手足元注意」という言葉をそのまま受け入れてしまっているケースです。
  • 原因: リーダー自身が「具体的に書かせる重要性」を理解していないか、朝の忙しい時間帯に一人ひとりの対策を細かくチェックして修正させる余裕(時間・スキル)がないため、スルーしてしまいます。
  • 問題点: 「これでいいんだ」という妥協が職場全体に蔓延し、形骸化が加速します。
5. 「設備やルールの変更」は自分たちの権限でできないから
現場の作業員レベルで行うKYでは、自分たちの力で機械に安全カバーをつけたり、作業工程そのものを変えたりすることはできません。
  • 原因: 「どうせ言っても設備は変わらない」という諦めがあるため、自分たちの作業員レベルで今すぐできること、つまり「自分たちが気をつける(=注意・徹底)」という枠の中にしか対策の発想が広がりません。

🙅 意味のない言葉を「生きた対策」に変える改善例
KYの対策を有効にするための鉄則は、「主語と動詞を明確にし、他人が見てもその動きが真似できるレベルまで具体化すること」です。
ダメな例(意味のない言葉)🙆 改善後の例(具体的な行動)
手元注意◯◯のレバーを握る時は、左手をフレームの外側に置く
足元注意通路の段差を通る時は、荷物を胸の高さまで下げて足元を確認する
確認の徹底バルブを閉めた後、圧力計の針が「0」を指しているか目視する
連絡の徹底クレーンを動かす直前に、「動かすぞ」と大声で周囲に合図を出す
💡 現場でできる簡単な仕掛け
  • 「注意」「徹底」「確認」を禁止ワードにする
    KYカードを割愛する際、「注意・徹底・確認という言葉を使わずに書いてください」というルール(縛り)を設けるだけで、作業員は「どう動けばいいか」を強制的に考えざるを得なくなります。

リスクアセスメントのリスク低減措置で「法令順守」「人の行動面に頼る」対策が多いのはなぜでしょう。

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「法令遵守」はリスクアセスメント(RA)を始める前の大前提(最低基準)
であり、法令を守った上でさらにリスクを減らすためにRAを行うのが本来のルールです。また、「人の行動面に頼る(注意喚起やマニュアル徹底)」対策は、人間のエラーを防止できないため、リスク低減効果が最も低いとされています。
それにもかかわらず、多くの現場でこの2つに頼った対策ばかりになってしまう背景には、日本の企業が抱える「コスト」「意識」「責任の所在」に関する5つの構造的な理由があります。

1. 「お金と時間(コスト)」をかけられないから
本質的対策(機械の買い替え)や工学的対策(安全カバーやセンサーの設置)を行うには、高額な費用がかかります。また、工事のためにラインを止める必要もあり、短期的には生産性が落ちてしまいます。
  • 現場の本音: 「予算がない」「今すぐ設備を変えるのは無理」となるため、お金がかからず、今日からすぐにできる「注意喚起」や「マニュアル改定」で済ませてしまいます。
2. 「法令さえ守っていれば安全」という誤解があるから
「労働安全衛生法やJIS規格などの法令をすべてクリアしている=100%安全な職場である」と盲信する「法令遵守ゴール(コンプライアンスの勘違い)」が起きています。
  • 現実: 法令は「最低限守るべき基準」に過ぎず、個々の現場の特殊な危険(機械のクセ、作業員の習熟度など)まではカバーしていません。しかし、「法律違反をしていないから、これ以上の対策は不要」と判断してしまう担当者が少なくありません。
3. 「不注意で怪我をするのは個人の問題」という根強い意識
日本の製造業や建設現場には、長年培われた「4S(整理・整頓・清掃・清潔)」や「KY(危険予知)活動」の素晴らしい文化があります。しかし、これが裏目に出ると「しっかり注意していれば災害は防げる」「怪我をするのは本人の不注意・自覚が足りないからだ」という精神論(個人責任論)にすり替わってしまいます。
  • 結果: 「人が気をつけるべき」という前提になり、対策が「注意徹底」「教育の実施」ばかりになります。
4. 対策を考える「設計・技術スキル」が不足しているから
設備的な安全対策(インターロックの回路設計、安全ガードの強度計算など)を行うには、高度な安全工学の知識が必要です。
  • 現状: 現場の安全担当者や管理職にその知識がない場合、どうやって設備を改良すればいいか具体策が思い浮かびません。結果として、自分たちがすぐに書ける「ルール化」「保護具の着用」でお茶を濁してしまいます。
5. 「監査や責任追及」へのアリバイ作りになりやすいから
万が一、労働災害が発生した際や、社内監査・労働基準監督署の調査が入った際、会社側は「対策を講じていた証拠」を求められます。
  • 書類上の都合: 「マニュアルに明記し、全員に教育を行い、サインをもらいました」という対策は、書面(アリバイ)として非常に残しやすいのです。そのため、リスクそのものを減らすことよりも、「会社としてやるべきことはやった(=だから労働者の違反である)」と言い訳できる対策が選ばれがちになります。

🛠️ この「形骸化」を打破するためのアプローチ
この状態から脱却するためには、RAの評価シートに以下のような強制的な仕組み(仕組み化)を組み込むことが有効です。
  • 「教育」「注意」の対策は、点数をあまり下げられないルールにする
    • 例:「作業員の注意」を対策とした場合、リスク発生確率は「3(高い)」のまま下げることはできない(1にはできない)という社内ルールを作ります。
  • 「なぜ設備対策ができないのか」の理由書を必須にする
    • 管理的対策(人の行動面)を選ぶ場合は、「設備対策が技術的・経済的に不可能な理由」を具体的に書かせます。これにより、安易に「注意する」でお茶を濁せなくなります。

職場における熱中症による死傷者数の状況(2016~2025年)

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職場での熱中症による死亡者及び休業4日以上の業務上疾病者の数(以下合 わせて「死傷者数」という。)は、2025 年に 1,803 人と、2024 年に比べて約 43%増加し、死傷者数について統計を取り始めた2005年以降、最多となった。

うち、死亡者数は19人と、2024年に比べ約39%減少した。

気象庁によると、2025年夏(6月~8月)の平均気温偏差(基準値(1991~ 2020 年の30年平均値)からの偏差)は、+2.36℃と、統計開始以来最高を記 録しており、死傷者数の増加の一因となったと推測される。

また、2025年に労働安全衛生規則の改正により、熱中症のおそれのある作 業を行うときには、事業者に報告体制の整備、手順の作成等の措置を講じる ことを義務付けたところであり、これにより、事業場における熱中症の重篤 化防止対策が一段と進み、当該改正が主な目的としていた熱中症の重篤化に よる死亡災害の防止が一定程度図られたと考えられる。

リスクアセスメントについて

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例えばという画像ですが、既存の対策に法令が入ってないのは問題です。
リスクアセスメントの基本は法令順守していても存在するリスクを低減していこうというプロセスだからです。
また、足元注意や三点支持で昇降するというような、人の行動に期待するようなリスク低減措置は不適切です(それは危険予知的な対策)

ちなみに、「足元注意」から「三点支持で」に対策を変えても
重大性(重篤度)の見積もりは変わりません。

アーク溶接でリスク低減措置が「保護メガネの使用」となると
「えっ、今まで使ってなかったの!」と驚いてしまいます。
やはり、リスクアセスメントを行うのならば、「正しい知識」ち「理解」が必要です。
おそらく現場はリスクアセスメントと危険予知の区別がついていません。
専門家を交えての勉強会が必要だと思います。

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石綿による健康被害者に対する救済給付

概要
○ 石綿による健康被害に関しては、本来原因者が被害者にその損害を賠償すべき責任を負うものである。
しかしながら、

① 石綿へのばく露から発症までの潜伏期間が 30~40 年と非常に長期にわたること

② 石綿は、建築物や自動車など極めて広範な分野で利用されてきていることから、被害者の石綿へのばく露に係る事実の確認、すなわち、特定の場所における石綿の飛散と個別の健康被害に係る因果関係を立証することが極めて困難である。

また、石綿へのばく露による疾病である中皮腫や肺がんは重篤であり予後が悪いため、発症から大体1、2年で死亡するケースがほとんどである。さらに、現在発症されている方が石綿にばく露したと想定される、 30 年前から40 年前には、このような重篤な疾病を発症するかもしれないことは一般に知られておらず、その危険性を知らないままに石綿にばく露した ものである。

このため、従来の民事上の損害賠償の考え方では、原因者を特定することが困難であって因果関係を立証することができず、したがって石綿による健康被害を受けた者については、自ら非がないにも関わらず損害賠償を受けられないでいた。

○ しかしながら一方で、
① 石綿による健康被害が既に発生しており、今後、この健康被害は増加すると予想されること

② 健康被害の原因が石綿であることはおおむね明確であること

③ 石綿による健康被害のうち中皮腫は治癒が困難な疾病であり、このままでは、現に存在し、また今後発生する健康被害者は何ら救済を受けられずに死に至ることは厳然たる事実であり、こうした状況にかんがみれば、石綿による健康被害者をその被害から救済するためには、現行の民事法に基づく解決に委ねることでは十分でなく、このような被害者を隙間なく迅速に救済するための制度を整備することが社会的要請となっていた。

このような状況を踏まえ、国民の健康で文化的な生活を確保すべき責任を負う政府の立場から、国が民事の損害賠償とは別の行政的な救済措置を速やかに講ずることにより、石綿による健康被害の迅速な救済を図るため、本制度が設けられたところである。

○ 本制度において、救済給付の支給の対象にしているのは、「健康被害を受けた者及びその遺族」である。救済給付の内容、具体的な対象疾病、遺族の範囲等については別の条において定めている。

○ 本制度においては、健康被害の「補償を図ること」とは規定されていない。 これは、救済給付の支給が、健康被害の原因者に代わって被害者の損害をてん補するものではなく、国が行政的な救済措置を速やかに講ずることにより、 健康被害による経済的負担の軽減を図るべく行われるものであることによる。

○ また、本制度は、石綿による健康被害を受けた者又はその遺族が、民法上の不法行為の制度があるにもかかわらず、石綿ばく露から発症までに長期間を要するために原因者の特定が困難であり、事実上損害賠償を受けられないという現状にかんがみ、社会的に気の毒な立場にある石綿による健康被害を受けた者等の負担軽減を、石綿の使用により経済的利得を受けてきた事業者をはじめとする社会全体で引き受けようとするものであり、その意味で、本救済給付は見舞金的な性格を有している


○ 確定診断された中皮腫については、8~9割が石綿由来であるとされている。また、ばく露開始から発症までが40年程度の潜伏期間の非常に長い疾患であり、発症後の2年生存率が30パーセント、発症後の余命は中央値15か月と、非常に予後の悪い疾患である。

○ また、肺がんについては、様々な原因があるものの、石綿の中・高濃度ばく露によって発症することが知られている。また、ばく露開始から発症まで が20 年~40 年の潜伏期間の長い疾患とされている。肺がん全体としては、 5年生存率が約20パーセント、発症後の余命は中央値が12か月と、非常に予後の悪い疾患であり、石綿ばく露による肺がんと石綿ばく露以外による肺がんとの予後を比較した報告は見あたらないが、同程度であると考えられている。

そのため、中皮腫及び肺がんを指定疾病とし、法律上明記することとした。

○ なお、中皮腫、肺がん以外の石綿関連疾患としては、石綿肺、良性石綿胸 水、びまん性胸膜肥厚が知られているが、これらについては、「石綿による健康被害の救済における指定疾病に係る医学的判定に関する考え方について (答申)」(平成18年3月2日中央環境審議会答申)において、以下のとおりとされている。

①石綿肺 『1) 古くからよく知られた代表的な職業病であるじん肺症のひとつであり、 特別加入制度も含めた労災保険制度が整備されてきたこと、また、石綿肺はじん肺法に基づき管理区分の決定がなされており、管理4あるいは管理2以上の合併症が労災補償の対象とされており、石綿肺と診断されたすべての者が労災補償の対象となっているのではないこと。

2) 石綿ばく露歴の客観的な情報がなければ、石綿以外の原因で発症する肺線維症と区別して石綿肺と診断することは難しいこと。

3) ばく露後すぐ発症するものではなく、ばく露から概ね10年以上経過して所見が現れること。

4) じん肺法に定める第1型の石綿肺は、それだけではほとんど症状もなく、肺機能や生活の質が大きく低下することはない。一部の症例で徐々に症状が進行し、肺機能の著しい低下等日常生活上の支障が生じる者もあるが、肺がん、中皮腫と異なり、短期間で死に至るような予後の非常に悪い疾病ではないこと。

5) 職業ばく露での疾病しか知られておらず、一般環境経由による発症例の報告はこれまでにないこと。 』

②良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚
『1) 胸水及びびまん性胸膜肥厚は、石綿以外の様々な原因で発症するもので、石綿ばく露の客観的な情報がなければ、他の原因によるものを区別して 石綿によるものと判断することは難しいこと。

2) 職業ばく露での発症しか知られておらず、一般環境経由による発症例の報告はこれまでにないこと。

3) びまん性胸膜肥厚は疫学的、臨床的知見が少なく、潜伏期間について十分な知見がないが、良性石綿胸水は潜伏期間が他の石綿関連疾患より短いこと。

4) 肺がん、中皮腫に比べ、予後不良とはいえないこと。

5) 労災補償制度においても、平成15年の認定基準の改正によって疾病として対象とされたものであり、これまでの認定者数も少ないこと。 』

『以上のような背景、状況を踏まえて検討した結果、今回の救済制度は、前述のように、石綿を原因とする中皮腫及び肺がんの特殊性にかんがみて、ばく露歴を厳密に確認することなく、迅速な救済を図ることとしたものであり、 当面、指定疾病はこれら2疾病とすることが適当である。 また、その他の疾病については、様々な原因で発症するものであり、客観的な職業ばく露歴がなければ他の原因によるものと区別して診断することが 難しいこと、職業性疾病として知られてきたものであり、一般環境経由による発症例の報告はこれまでにないことなどから、今後、さらに知見を収集し、 その取扱いについて検討していくことが適当である。 』

○ なお、指定疾病に付随する疾病等(以下「続発症」という。)であって、日常生活に相当の制限が加わり、常に医師の管理による治療が必要であるようなものについては、「石綿による健康被害の救済に関する法律の施行(救済給 付の支給関係の施行)について(通知)」(平成 18 年3月 13 日環保企第 060313003 号)第3の2において、当該指定疾病と一体のものとして取り扱うこととされている。

『個々の事例において、ある疾病等が続発症であるか否かについては、医学の経験則により、相当程度の関連性があるか否かによって判断されるべきであるが、具体的には、中皮腫又は肺がんの続発症としては、次のような疾病等が考えられる。

①指定疾病の経過中又はその進展により当該指定疾病との関連で発症するもの(中皮腫又は肺がんの遠隔移転、肺がんの癌性胸膜炎、癌性リンパ管症 など)

②指定疾病を母地として細菌感染等の外因が加わって発症するもの(肺炎、 胸膜炎など)

③指定疾病の治療に伴う副作用や後遺症(薬剤性肺障害、放射線肺炎、術後の肺機能障害など)
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不整地運搬車特別教育
ボーリングマシン
特定粉じん特別教育
巻上機(ウインチ)特別教育
伐木作業等特別教育
アーク溶接特別教育
アスベスト特別教育
ダイオキシン特別教育
酸欠・硫化水素特別教育

ロープ高所作業特別教育
フルハーネス特別教育
はい作業従事者教育

騒音障害防止教育
振動障害防止教育
丸のこ取扱い従事者教育
有機溶剤作業従事者教育
刈払い機作業従事者教育
熱中症防止教育

職長能力向上再教育
足場能力向上教育
車両系能力向上教育
玉掛け能力向上教育
足場点検実務者研修

主催研修会
◎ 現在実施予定はありません
出張安全講習会
■費用(税別)
■基本料金
 4時間まで:60,000円
 4時間超え:80,000円
■別途
 受講者お一人につき
 テキスト等実費
 修了証500円
ーーーーーーー
■遠方の場合
 交通宿泊費実費を
 お預かりいたします
ギャラリー
  • 労働安全衛生法令では比較酸素濃度18%未満は作業禁止
  • フルハーネス型墜落制止用器具についての講師要件
  • 隧道工事での酸欠等災害防止
  • 隧道工事での紛じん障害防止
  • 酸欠災害がなぜ「一瞬で命取り」になるのか
  • 保護具着用管理責任者に選任されたら職務を本気で考えてみる
  • 土木現場の元請けさん、「建設従事者教育」を実施しましょう。
  • 本音で受けよう職長教育!
  • 2026年の労働災害は増加するかもしれない
  • 化学物質のリスクアセスメントを行うときに有機則に指定される化学物質を除外してしまうのはなぜ
  • 危険予知KYを行う中で対策が「手足元注意」や「○○の徹底」と意味のない言葉になってしまう理由
  • リスクアセスメントのリスク低減措置で「法令順守」「人の行動面に頼る」対策が多いのはなぜでしょう。
  • 職場における熱中症による死傷者数の状況(2016~2025年)
  • リスクアセスメントについて
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  • じん肺のほとんどが続発性気管支炎
  • 令和7年における労働災害発生状況(確定)
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  • リスクアセスメントを実施する意味とは
  • 技能講習の一部省略が可能な特別教育について
  • 土石系の紛じん対策について3つのポイント
  • 修了証の偽造問題について
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  • 機械研削砥石特別教育の学科と実技
  • 機械研削砥石特別教育の実技
  • フルハーネス特別教育
  • 令和7年の労働災害(速報)と令和6年の労働者数
  • 建設業就業者の現状
  • はしご作業の法的規制と注意点 AIを短絡的にうのみにしないように
  • 自由研削砥石特別教育と機械研削砥石特別教育の違い
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  • RSTトレーナー会千葉・東京
  • 職長教育を受講させるタイミングとは
  • オンライン安全衛生教育のデメリット
  • 東京RST研究会 4月研修会
  • 安全第一という考え方と生産第一の考え方の折り合いの付け方
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  • リスクアセスメント指針 同解説
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