国交省/CCUS能力評価見直し検討、職種ごと柔軟に対応 – 日刊建設工業新聞 (decn.co.jp)

建設キャリアアップシステム(CCUS)登録技能者の能力評価(レベル判定)制度を巡って、国土交通省が制度見直しを視野に入れた検討を始めた。11日に東京都内で開かれた会合で大澤一夫官房審議官(不動産・建設経済局担当)は「制度を固く持つというより、むしろ専門工事団体の考えに沿って柔軟に進めていく。評価の仕方や基準も柔軟な対応に方針を変えていく」と明言。建設業団体から意見や要望を吸い上げ、技能者の処遇改善に一段とつながる制度を目指す考えを示した。
 国会議員や建設業団体などが参加した「『建設職人基本法』超党派国会議員フォローアップ推進会議」(議長・二階俊博衆院議員)の会合でCCUSの取り組み状況として報告した。
 
現行制度は国が能力評価の統一的なガイドラインを設け、全職種共通で技能レベルを4段階評価する仕組み。大澤審議官は会合で、一部の専門工事団体から「(レベル分けを)四つではなく八つにしてほしい」など、現場の実情に即した制度改善を望む意見が挙がっていることを紹介した。

 
CCUSの運用開始から3年が経過したが、技能者が登録メリットを実感できないという声は依然多い。登録者数を増やすだけでなく能力評価制度が業界に浸透し、技能者の処遇改善に直接機能していく形にならなければメリットは顕在化しない。

 
国交省はこうした問題意識を背景に、レベル分けの細分化など職種ごとの柔軟な対応を許容する方向にかじを切る考えだ。主要な専門工事団体などと意見交換する「CCUS評価制度懇談会」を昨年末に新設しており、制度改善のヒントやニーズを吸い上げる場とする。

 
制度見直しにはさまざまな関係者とひざ詰めで意見を交わすことが不可欠だ。全職種共通の4段階評価や官民の役割分担といった現行制度の枠組みは、建設業界統一のルールにすることを前提に構築した経緯がある。能力評価の客観性や職種間のバランスを確保する必要性は当初から指摘されていた。制度創設時の議論に立ち返りつつ適切な解を導き出すには慎重な議論が必要だ。