基発0 5 2 0 第6 号
令和7年5月20日
都道府県労働局長 殿
厚生労働省労働基準局長
( 公 印 省 略 )
やっと通達が出たので一部のみ記載
第1 改正の趣旨
事業者は、熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、あらかじめ、当該作業に従事する者が熱中症の自覚症状を有する場合又は当該作業に従事する者が当該作業に従事する他の者に熱中症が生じた疑いがあることを発見した場合にその旨を報告させる体制を整備し、
2 事業者が熱中症による健康障害を防止するために講ずるべき措置の実施手順の作成と関係作業者への周知
第3 細部事項
イ 「暑熱な場所」とは、湿球黒球温度(WBGT)が28度以上又は気温が31度以上の場所をいい、必ずしも事業場内外の特定の作業場のみを指すものではなく、出張先で作業を行う場合、労働者が移動して複数の場所で作業を行う場合や、作業場所から作業場所への移動時等も含む趣旨であること。
また、「暑熱な場所において連続して行われる作業等熱中症を生ずるおそれのある作業」とは、上記の場所において、継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれる作業をいうこと。
ウ 暑熱な場所に該当するか否かは、原則として作業が行われる場所で湿球黒球温度又は気温を実測することにより判断する必要があるが、例えば、通風のよい屋外作業について、天気予報(スマートフォン等のアプリケーションによるものを含む。)、環境省の運営する熱中症予防情報サイト等の活用によって判断可能な場合には、これらを用いても差し支えないこと。
エ 「当該作業に従事する者」(以下「作業者」という。)とは、労働者だけでなく、労働者と同一の場所において当該作業に従事する労働者以外の者を含むものであること。
オ 熱中症の症状の重篤化を防止するためには、熱中症が生じた疑いのある者について、早期の作業離脱や身体冷却、必要に応じ、医師の診察等を受けさせるための医療機関への搬送を迅速かつ的確に行うことが重要である。
このため、これらの措置が迅速かつ円滑に実施されるよう、
①熱中症の自覚症状を有する作業者や熱中症が生じた疑いのある作業者を発見した者がその旨を報告するための体制を事業場ごとにあらかじめ整備しておくこと、
②熱中症の自覚症状を有する作業者や熱中症が生じた疑いのある作業者への対応に関し事業場の緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先並びに必要な措置の内容及び手順を事業場ごとにあらかじめ作成しておくこと、
③当該体制や手順等について作業者へ周知することを事業者に義務付けるものであること。
また、建設現場にみられるような混在作業であって、同一の作業場で複数の事業者が作業を行う場合は、当該作業場に関わる元方事業者及び関係請負人の事業者のいずれにも措置義務が生ずるものであること。この場合の作業者に対する周知の方法として、各事業者が共同して1つの緊急連絡先を定め、これを作業者の見やすい場所に掲示することや、メールでの送付、文書の配布等が考えられること。
キ 作業者の不調を発見するのは熱中症を生ずるおそれのある作業以外の作業に従事する者であることも想定されるため、熱中症を生ずるおそれのある作業が行われる場所で熱中症を生ずるおそれのある作業以外の作業を行う者も含め広く緊急連絡先等を周知することが望ましいこと。
やっと通達が出たので一部のみ記載
労働安全衛生規則の一部を改正する省令(令和7年厚生労働省令第57号。以下「改正省令」という。)については、令和7年4月15日に公布され、同年6月1日から施行することとされたところである。その改正の趣旨、内容等については、下記のとおりであるので、関係者への周知徹底を図るとともに、その運用に遺漏なきを期されたい。
記
第1 改正の趣旨
職場における熱中症による労働災害は、近年の気候変動の影響から、夏期において気温の高い日が続く中、ここ数年は増加傾向にあり、令和6年における休業4日以上の死傷災害は、1,195人と調査開始以来最多となっている。特に、死亡災害については、3年連続で30人以上となっており、労働災害による死亡者数全体の約4%を占める状況にあるなど、その対策が重要となっている。熱中症による死亡災害の原因の多くは、初期症状の放置、対応の遅れによることから、熱中症の重症化を防止し、死亡災害に至らせないよう、熱中症による健康障害の疑いがある者の早期発見や重篤化を防ぐために事業者が講ずべき措置等について、新たな規定を設けるものである。
第2 改正省令の概要
1 事業者が熱中症による健康障害を防止するために講ずるべき体制整備と関係作業者への周知
事業者は、熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、あらかじめ、当該作業に従事する者が熱中症の自覚症状を有する場合又は当該作業に従事する者が当該作業に従事する他の者に熱中症が生じた疑いがあることを発見した場合にその旨を報告させる体制を整備し、
当該作業に従事する者に対し、当該体制を周知させなければならないこととしたこと。
2 事業者が熱中症による健康障害を防止するために講ずるべき措置の実施手順の作成と関係作業者への周知
事業者は、熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、あらかじめ、作業場ごとに、当該作業からの離脱、身体冷却、必要に応じての医師の診察又は処置を受けさせることその他熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置の内容及びその実施に関する手順を定め、当該作業に従事する者に対し、当該措置の内容及びその手順を周知させなければならないとしたこと。
第3 細部事項
1 改正省令関係
(1)共通事項
ア 「熱中症」とは、高温多湿な環境下において、体内の水分や塩分(ナトリウム等)バランスが崩れる、体温の調整機能が破綻する等して、発症する障害の総称であること。
イ 「暑熱な場所」とは、湿球黒球温度(WBGT)が28度以上又は気温が31度以上の場所をいい、必ずしも事業場内外の特定の作業場のみを指すものではなく、出張先で作業を行う場合、労働者が移動して複数の場所で作業を行う場合や、作業場所から作業場所への移動時等も含む趣旨であること。
また、「暑熱な場所において連続して行われる作業等熱中症を生ずるおそれのある作業」とは、上記の場所において、継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれる作業をいうこと。
なお、非定常作業、臨時の作業等であっても上記の条件を満たすことが見込まれる場合は対象となること。
ウ 暑熱な場所に該当するか否かは、原則として作業が行われる場所で湿球黒球温度又は気温を実測することにより判断する必要があるが、例えば、通風のよい屋外作業について、天気予報(スマートフォン等のアプリケーションによるものを含む。)、環境省の運営する熱中症予防情報サイト等の活用によって判断可能な場合には、これらを用いても差し支えないこと。
なお、熱中症を生ずるおそれのある作業に該当しない場合であっても、作業強度や着衣の状況によっては、熱中症のリスクが高まることから、事業者は、改正省令に準じた対応を行うよう努めること。
エ 「当該作業に従事する者」(以下「作業者」という。)とは、労働者だけでなく、労働者と同一の場所において当該作業に従事する労働者以外の者を含むものであること。
オ 熱中症の症状の重篤化を防止するためには、熱中症が生じた疑いのある者について、早期の作業離脱や身体冷却、必要に応じ、医師の診察等を受けさせるための医療機関への搬送を迅速かつ的確に行うことが重要である。
このため、これらの措置が迅速かつ円滑に実施されるよう、
①熱中症の自覚症状を有する作業者や熱中症が生じた疑いのある作業者を発見した者がその旨を報告するための体制を事業場ごとにあらかじめ整備しておくこと、
②熱中症の自覚症状を有する作業者や熱中症が生じた疑いのある作業者への対応に関し事業場の緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先並びに必要な措置の内容及び手順を事業場ごとにあらかじめ作成しておくこと、
③当該体制や手順等について作業者へ周知することを事業者に義務付けるものであること。
なお、作業者に熱中症が生じたことが疑われる場合には、WBGT値や作業時間等にかかわらず、作成した手順を踏まえ、適切に対処することが重要であること。ただし、状況によっては、あらかじめ作成した手順どおりに措置を講ずることが難しい場合も考えられることから、このような場合は、熱中症の症状の重篤化を防ぐ観点から、何らかの合理的な措置を講じることが望ましい。
カ 改正により新設される労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第612条の2は、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。第4の2(1)において「安衛法」という。)第22条に基づくものであり、個々の事業者に対し、措置義務が課されるものであること。
また、建設現場にみられるような混在作業であって、同一の作業場で複数の事業者が作業を行う場合は、当該作業場に関わる元方事業者及び関係請負人の事業者のいずれにも措置義務が生ずるものであること。この場合の作業者に対する周知の方法として、各事業者が共同して1つの緊急連絡先を定め、これを作業者の見やすい場所に掲示することや、メールでの送付、文書の配布等が考えられること。
なお、上記のような複数事業者が混在して作業を行う状況において当該措置が行われていなかった場合には、元方事業者のみに違反が生ずる訳ではなく、当該作業場に関わる全ての事業者に同条違反が生ずるものであること。
キ 作業者の不調を発見するのは熱中症を生ずるおそれのある作業以外の作業に従事する者であることも想定されるため、熱中症を生ずるおそれのある作業が行われる場所で熱中症を生ずるおそれのある作業以外の作業を行う者も含め広く緊急連絡先等を周知することが望ましいこと。