ディスクグラインダーなどの携帯用研削盤において、「砥石直径が150mm超でなければ振動障害防止のための安全衛生教育(以下、振動工具取扱作業者安全衛生教育)の対象外になる」というのは、現場でよくある大きな勘違い(誤解)です
結論からお伝えすると、一般的な100mmサイズのディスクグラインダーであっても、用途が「サンダー(研磨・研削)」として扱われる場合は、直径に関係なく振動工具の対象となります
なぜこのような勘違いが起きるのか、厚生労働省の指針 に基づき、正しい分類のルールを分かりやすく解説します。

⚠️ なぜ「150mm以上(超)」と誤解されるのか?
厚生労働省が定める「チェーンソー以外の振動工具の予防対策指針」 には、以下のような記述があります。
「携帯用研削盤、スイング研削盤その他手で保持し、又は支えて操作する型式の研削盤(使用する研削といしの直径が150mmを超えるものに限る。)」
この一文だけを見て、「グラインダーは150mmを超えなければ振動工具にならない」と部分的に解釈されてしまったことが、誤解の主な原因です。 
💡 正しい判断基準:「研削盤」か「サンダー」
実は、同指針の別カテゴリに「携帯用皮はぎ機等の回転工具」という項目があり、その中に「サンダー」が指定されています。これにはサイズ制限がありません
現場で使われるディスクグラインダーの多くは、砥石や研磨ディスクを交換することで「削る(研削)」「磨く(研磨)」「切る(切断)」のあらゆる作業に使用されます。
  • 金属のサビ落とし・研磨・バリ取り等を行う場合
    実質的に「サンダー」としての取扱作業になるため、砥石直径(100mmなど)に関係なく「振動工具」に該当します。
  • 「研削盤(グラインダー)」としてのみ扱う場合
    厳密な「研削盤」の定義に当てはまる場合は150mm超という基準が残りますが、現代の現場で100mmのディスクグラインダーを「サンダー作業には絶対に一切使わない」と言い切ることは困難です。
したがって、安全衛生管理やコンプライアンス(法令遵守)の観点から、「100mmサイズであってもディスクグラインダーを使用するなら、原則として振動工具取扱作業者安全衛生教育を受講させるべき」というのが現在の確実な基準となっています

🛠️ 補足:教育の義務と「自由研削といし」との違い
安全教育の区分を整理する上で、もう一つ混同しやすい注意点があります。
  1. 自由研削といしの取替え等のための特別教育(必須義務)
    • 労働安全衛生規則第36条に基づく法定の「特別教育」です。
    • グラインダーのサイズに関わらず、砥石を交換する作業を行う者全員に受講義務(罰則あり)があります。 
  2. 振動工具取扱作業者安全衛生教育(努力義務)
    • 労働安全衛生法第60条の2に基づく「安全衛生教育(通達に基づく教育)」です
    • 事業者への導入は「努力義務」という位置づけですが、元請け会社の入場規則や、現場の安全規定で「受講していなければ入場・作業不可」とされるケースが非常に増えています
📊 振動工具の主な対象品目まとめ
ご参考までに、グラインダー(サンダー)以外で現場でよく使われる対象工具は以下の通りです。
工具のタイプ具体例サイズ等の制限
打撃系工具さく岩機、コンクリートブレーカー、チッピングハンマー、電動ハンマーなし(すべて対象)
内燃機関(エンジン)付エンジンカッター、ブッシュクリーナー(※刈払機は別枠)なし(すべて対象)
回転系工具サンダー、バイブレーションドリルなし(100mmグラインダーもここに含まれる)
締付・往復動工具インパクトレンチ、ジグソー、バイブレーションシャーなし(すべて対象)
このように、サイズを理由に対象外と判断するのは現場のリスクになります。100mmのディスクグラインダーであっても、振動障害(白ろう病など)のリスクは十分にありますので、正しい知識を持って教育を推進されることをおすすめします。