1. 原則:兼務は可能(メリットも大きい)
厚生労働省のQ&Aや通達(基発0531第9号)において、「適切に職務を行える範囲であれば、作業主任者と兼務することは差し支えない」と明記されています。
  • 追加の講習が不要:
    有機溶剤作業主任者の技能講習を修了している人は、すでに「保護具に関する知識や経験を持つ者」とみなされるため、追加で「保護具着用管理責任者教育(6時間)」を受講しなくても、そのまま保護具着用管理責任者に選任できます。(受講は推奨)
  • 現場実務との相性が良い:
    有機溶剤作業主任者はもともと現場で「保護具の使用状況を監視する」職務を負っています。そこに、保護具の選定や維持管理を行う「保護具着用管理責任者」の職務を合わせることで、一元的な管理ができるメリットがあります。

2. ⚠️ 絶対に兼務できない「唯一の例外」(要確認)
作業環境測定の結果、「第3管理区分(著しく環境が悪い場所)」に該当してしまった場合は、作業主任者が保護具着用管理責任者を兼務することは法律で禁止されます。
  • なぜ禁止されるのか?
    第3管理区分に判定され、どうしても環境改善が困難な現場では、労働者に「呼吸用保護具(防毒マスクなど)」を着用させて作業させることが義務付けられます。このとき、保護具着用管理責任者には「労働者全員のマスクが顔に密着しているかを確認するフィットテストの実施」や「有効かつ清潔な状態の徹底的な保持」など、極めて高度で重い管理責任(専任に近い形)が課されます。現場の指揮で手一杯になる作業主任者がこれを兼ねると管理が疎かになるリスクがあるため、国は兼務をNGとしています。
  • 第3管理区分になった場合の対策:
    作業主任者とは「別の担当者」を保護具着用管理責任者に選任しなければなりません。

3. 「役割」の違いを理解しておく
兼務する場合でも、それぞれの資格で求められる「職務の目的」が異なることを理解し、両方の業務をこなす必要があります。
  • 有機溶剤作業主任者の職務(現場の指揮):
    • 作業方法を決めて、労働者を直接指揮する。
    • 局所排気装置などの換気設備を1ヶ月ごとに点検する。
    • 労働者に保護具を「使わせる(その場での監視)」
  • 保護具着用管理責任者の職務(保護具のマネジメント):
    • リスクアセスメント結果に基づき、適切な保護具を「選ぶ」
    • 労働者に正しい着け方を指導し、フィルターの交換記録をつける(保守管理)。
    • マスクが顔に密着しているかの確認(フィットテスト等)を統括する。

まとめ
通常の現場(第1・第2管理区分)では、有機溶剤作業主任者が保護具着用管理責任者を兼務可能です。 
なお、第3管理区分における対応や、化学物質管理者を含めた複数職務の兼務に関する詳細は、厚生労働省の最新の告示や関連資料をご参照ください。